車に乗せられるやわたしは目隠しをされてしまったので、いったい車がどういうコースを走ったのか皆目見当もつかなかった。
でも時間にしたら10分少々といったところで車は停止したので、そんなに遠くというわけではなさそうだ。
彼女らが“事務所”と呼んだところに連れ込まれてようやく目隠しを外されたわたしは、その部屋の陰気臭さに驚いた。

「入りな!」と言われ、いきなり背中をドンとどつかれて、わたしは部屋の中央の床に前のめりに倒れてしまった。
「な、なにするんですか!手荒なことはヤメて下さい!」
「ひとの服を汚しときながら、手荒なことはヤメて だと?」
「だから、友達が汚したんじゃないって言ってるでしょ!」
「フン、ここに来た以上は、そんな言い分はとおりゃしないよ。」
その時、部屋の奥に置かれていた肘掛つきの大きなチェアがグルッと回転してこっちを向いた。
「フフフフフフ・・・威勢のいいお嬢さんだこと。」
そう言ったのはチェアに腰掛けていたまさに熟女という言葉がピッタリな妖艶な女性だった。

「ボス!言われたとおり連れてきました。」 そう答えたのはわたしをここに連行した姐御格の女性だった。
「言われたとおり・・・ですって?それ、どういうことなの?!」 わたしは不可解な二人の会話に疑念を抱いて尋ねた。
「フフフフフ・・・・今にわかるから心配しないで。」 ボスと呼ばれた熟女はそうわたしに言うと、女たちに何やら目配せした。

わたしはますます意味がわからなくなってさらに質問しようとしたその時、いきなり背後から女たちに両腕をグッとつかまれ、
無理矢理立ち上がらされると、両手両足をグルグルとロープで縛られてしまった。
「キャァッ!な、なにするの!!!」 あまりに急だったし、女たちの手際もすごくよかったため、あっという間にわたしは
左右からロープで引っ張られて両手両足を大の字に広げた恰好になってしまった。
「ちょ、ちょっとぉ、これいったいなんのマネ?!このロープを外してよ!」 わたしは必死になってロープを解こうともがいたが
しっかり結われたロープはビクともしなかった。

「さあ、あんたはこれからたっぷりボスのお仕置きを受けるのよ。」 姐御がわたしの困惑した顔を見ながら言った。
「わたしはジャケットの一件を話し合いに来たのよ。お仕置きなんか受けるつもりはないわ!」
「ジャケットの一件?そんなことどうでもいいのよ。針筵 明日香。」女ボスはチェアから立ち上がるとわたしに近づきながら言った。
「ど、どうして、わたしの名前を?!」
「あなたがお仕置きを受ける理由は、エステサロンの一件よ。」
「エステサロン?・・・・・えっ、ま、まさか、あなたたち!!」
「そう、思い出したようね。 あの時はよくも可愛い部下たちをコケにしてくれたわね。おかげで翌日の礼鉄ストアのプレゼン
も台無しになってしまったわ。この代償は大きいわよ。」
「な、なに言ってるの!あのエステの件だって、ヒドイ目に遭わされたのはこっちの方よ!逆にお仕置きしたいくらいだわ!」
「もうちょっとでうまく行くところだったのに、あんたのせいでわたしらはボスからさんざん叱責を受けたんだからね。」
そう言う女たちを見てわたしはビックリした。 さっきまでのチンピラ女は精巧にできたゴムマスクとかつらの変装で、それを
ベリベリっと外したその顔はまさにあのエステ店員の矢良、未鱈、笛羅の握馬三人衆だったのだ。

「あんたも馬鹿ね。また罠にはまっちゃうんだから。あははははははははは・・・」 矢良たちは笑いながらわたしの服を
ビリビリと破き、ブラジャーを剥ぎ取りにかかった。
「や、やめてーーーーっ!!!」 わたしは体を左右にくねらせ抵抗したが、手足を縛ったロープは左右からピンと張り
つめられていたため体の自由がきかず、彼女たちの手から逃げることはできなかった。

「おまえたちはそこに下がっておいで。あとはわたしがやるから。」
女ボスはいつの間にか手にした細い乗馬鞭をわたしの剥き出しになった乳房にあてながら言った。
「わたしは握馬物産社長の麗図 美杏(れいず びあん)。ある日、営業活動中のあなたを見て、一目で惚れちゃったの。それ以来
一度でいいからあなたの肌を鞭打ってみたいとずっと思ってたのよ。それでちょっと凝った芝居をうったわけ。最初からお友達
でなく、あなたが狙いだったの。あなたの性格ならきっとお友達をかばって自ら乗り込んでくると思ってたらその通りになったわ。」

「な、なんですって?このヘンタイ女! うちの部長にだって許してないのに、そんな勝手なことさせないわ!」
「おたくのスゴ腕女営業部長の佐渡 美奈さんね。はははは・・・何かにつけて鼻につくイマイマしい女だわ。
でも、わたしの方が彼女より格が上よ。肩書きは社長だからね。」

何が何だか、とにかく一から十までまったく理解できない言い分が平然と飛び交っている状況にわたしは目の前が暗くなった。
ビシィィィィィィィッ!!!!
ヒィッ!!
いきなり麗図社長の乗馬鞭がわたしの乳房を激しく打ち据えた。

パシィィィィィィィッ!!!!
キャァアァァァァアアァアァッ!!!
あとは有無を言わさず、鞭の嵐が延々とわたしを襲った。
麗図社長は、わたしの両方の乳房が真っ赤にミミズ腫れになるまで打つと、今度は背中側に回って、また一から鞭痕を
刻んでいった。
ヒュルルルルルル・・ビシィィィィィィィッ!!!
バシィーーーーーーン!!!
はぅっ・・・
ヒュン、ピシッ!!!!
くっ・・・

全身汗まみれになり、それが鞭の痕にヒリヒリと滲みる。 足はガクガクしてきて、ロープの支えがなければとうに倒れていた
ところだったが、わたしは歯を喰いしばって必死に耐えた。 こんな不条理な理由で泣き言を言うのはイヤだったからだ。
朦朧とする意識の中で麗図社長の目を見ると、疲れるどころかますます爛々と輝きを増しているではないか。
(も、もうダメ・・・・耐えられない・・・・) わたしはこのまま永遠に続く鞭打ちに絶望的な気持ちになっていった。
その時、カーテンのすきまから外を見ていた矢良があわてた様子で麗図社長に言った。
「ボス!やばい、サツだ!」

「チッ、いいところでまた邪魔が入ったか。」 麗図社長は打つ手を止めると女たちに指示を出し、自分はさっさと姿を消した。
女たちはロープを解くと、グッタリしたわたしを裏口から表に放り出し、自分たちも社長のあとを追って行方をくらました。
「わたしらを訴えてみな。そしたら友達は不幸になるよ。」と捨てセリフを残して。
「明日香!! ゴメン、わたしのためにひどい目に遭ったね!」 地ベタに倒れたわたしに駆け寄ってきたのは唯だった。
どうやら唯が車のナンバーを警察に通報してくれたらしい。

「これくらい・・・・大丈夫だよ・・・唯。」わたしは唯を安心させようと全身の痛みをこらえながら無理して笑って見せた。
それにしてもとことん悪辣な握馬の連中。 この先もきっとやつらはわたしを陥れようといくつも罠を仕掛けてくるに違いない。
でも、わたし、負けないわ!

★後日談・・・・・
半年後、唯は多くの人々から祝福されながら盛大な結婚式を挙げた。
唯をお嫁さんにもらった幸せな男性は毛塚さんといった。 その後婚姻届を出しに行って唯ははじめて気がついた。
毛塚は「けづか」でなく「けつか」と濁らないことを。
「毛塚 唯。 けつか ゆい。 ケツかゆい!!」 唯の悩みは終わることがない。 そういう星の元に生まれたのだろう。

※この物語はすべてフィクションであり、登場人物および団体は実在しないものであります。