その日の朝。わたしの出社前にこんな会話が部長と課長の間でなされていたなんて、わたしは夢にも思わなかった。
「瀬久原課長。 どうあの子?営業の仕事には慣れたかしら?」 と佐渡部長が瀬久原課長のデスクに出向いて尋ねた。
「ああ、針筵のことですね。 “私の的確な指導”により、彼女も今では我が課の戦力の一員に育ちつつあります。」
「あなたの指導のおかげかどうかはわからないけど、確かにこれを見た限りでは上々の成績のようね。」 と佐渡部長は
壁に貼ってあるノルマ達成のグラフを横目で見ながら言った。

「あいつの場合、なんて言うか、そう、怖いもの知らずって感じで、とにかくどんなことでも真正面からぶつかって行く姿勢
が今のところ成績につながってるみたいですな。ま、そのうち営業の本当の怖さ・難しさを実感するでしょうけどね。」
「そうね。営業はそんな初心者で務まるような甘いもんじゃないわ。あの子にとってもラッキー続きだと、やがて営業を
なめてかかることになってよくないわね。」
佐渡部長はそこでちょっと思案すると、瀬久原課長を近くに呼び寄せ、小声で何やら指示を与えはじめた。
「わかりました。実は私も新人の分際で成績トップってのがちょっと気に入らず、ここらで少し痛い目にあわせてやりたい
と思ってたとこなんです。まぁ逆境は人を育てる ってとこですかね。あはははははは」

その日の夕方。それも5時を回った頃。 わたしは突然瀬久原課長に呼ばれた。
「針筵くん。急の仕事を頼まれてくれんか?伊闇くんも肝井くんもみんな出張中で不在だからね。」
「わかりました。いったい何をすればよろしいんでしょうか?」 わたしはちょうど企画書を完成させたところだったので、課長の
頼みを快く引き受けた。

「お得意様の土井中工務店さんにこの設計書を届けたいんだが・・・明日の朝一の重要な商談で土井中さんが使われるんで、
何としても今日中に手渡さなければならない。これが明日の商談に間に合わないと、土井中さんに多大な損失を与えてしまう。」
「でも課長。土井中工務店さんて、信州の山奥でしたよね。そこへ今から届けるってことですか?」
「そうだ、信州の山奥に、今日中だ。宅配便のタイムサービスじゃ朝一には間に合わんし、バイク便を使うのはコストがかかりすぎる。
それに第一、すごく重要な設計書だから、他人に任すのは心配だ。そこで、信頼できるキミに直接持って行ってもらいたいんだ。
列車だと帰りがなくなるかもしれないので、営業車を使ってくれ。」
「はぁ、そんなに信頼いただいているのは嬉しいんですが・・・・今からだと・・・・。」とわたしは時計をチラッと見た。
「大丈夫!裏道を教えてやる。林間コースだが、これを使えば最短距離だ。」

というわけで、わたしはすぐさま車に乗って、遙か信州の山奥を目指すことになった。
中央フリーウェイは平日ってこともあり、渋滞のじゅの字もなく快適そのもののドライブだった。

諏訪インターチェンジで一般道に降り、そこから国道20号線を北上。 やがて課長が教えてくれた目印のコンビニが見えてきた。
「あれね。あそこを右折して、左折して、直進して、また右折すれば、例の林間コースに入れるんだわ。」
夏の日は長く、ついさっきまで西日が山を赤々と染めていたと思ってたが、気がつくと日はとっぷりと暮れ、脇道は真っ暗だった。
その時、わたしのお腹がグ~っと鳴った。
「お腹すいたなぁ。でも土井中さん、わたしの到着を首を長くして待っておられるに違いない。 先にお届けして、それからゆっくり
食事しよう。」 わたしは休むことなく、例の林間コースに車を乗り入れた。

ガタゴトガタゴト・・・・舗装されていない山道のため車がガタガタ揺れる。 おまけに外灯もなく、対向車もまったく走って来ない。
ヘッドライトが照らし出す前方の道だけを見つめ、わたしは少々緊張しながら車を走らせて行った。
「本当にこの道でよかったのかなぁ。」 課長が書いてくれた地図を見ても、手がかりも目印もなにもなく、だんだん不安になってきた。
「この道で正しければ、あとは山一つ越えれば土井中さんに着くはずだ。」 わたしは道を信じることにし先を急ごうとしたその矢先。
突然、前方のヘッドライトに巨大な影が浮かび上がり、わたしは思わず急ブレーキを踏んだ。
よく見ると大きな木が横倒しになって道をふさいでいるではないか!!

「な、なに!こんなのないわよぉ~。」 わたしはしばらくあっけにとられていたが、車を降りて大木の様子を見に行くことにした。
「あ~ぁ、ダメだわ。こんな大きな木、動かせやしないわ。」 もしかしたら、というかすかな希望も打ち砕かれ、途方に暮れて車に
戻ろうとしたその時。 ガサガサガサッ!!と横の茂みが音を立てた。
「キャァアッ!!」 わたしは心臓が止まるほど驚き、その場にしゃがみこんでしまった。
そんなわたしの背後に何者かが近づいたことなどまったく気がつかず、ドン!!と後頭部を鈍器のようなもので殴られ、
わたしはそのまま気を失ってしまった。

しばらくして意識が戻り、恐る恐る薄目を開けて周りを見ると、そこはさっきの山道ではなく、どうやら山小屋の中のようだった。
「持ち物はこれだけか?」「もっとよく探してみろ!」 そんな会話が聞こえてきた。 (誰かいるんだ!)

その声の主がわたしに近寄ってきたので、思わず逃げ出そうとして、「あっ!」と声をあげてしまった。
なんと手足とも椅子にロープでがっちり縛られているではないか!
「お嬢さん、目が覚めたようだな。」「だ、だれなの!どうしてわたしを!?お願い、近寄らないで!!」
よく見ると声の主は2人の男性で、その出立ちは・・・・そ、そんな! 今の時代に、さ、山賊?!!
そう、まるで時代劇に出てくるようなヒゲぼうぼうの顔に毛皮の服をまとった、まさに山賊ルックだったのだ。
ただ頭巾をスッポリかぶり目だけ出しているところは、銀行強盗といっても間違いではなかった。
「おぅ。見てのとおり、オレたちゃ山賊よ。さあ、持ち物いっさい置いてってもらおうか!隠したりしたら、命はねぇぞ!」
「何言ってるの!持ち物って、あなたたち、もうとっくに調べたんでしょ。それで全部よ。」

部屋の中央に置かれた木製のテーブルの上にはわたしのハンドバッグが見え、そのまわりに中身が広げられている。
そのほかに道路マップや課長の手書きの地図、車検証、クリーナー、工具箱、それに眠気覚ましのガムまであることから、
車の中も物色済みだということがわかった。
山賊の一人がわたしのそばに寄って来て、「おい、まだなにか隠してるんじゃねぇか?素直に教えるんだ!」とすごんだ。
「だから言ってるじゃない。もうそれ以外なにもないわ!」
もう一人もわたしの前に立つと、その男はいきなりわたしのジーンズのスカートをハサミでジョキジョキ切りはじめた。
「きゃぁあぁぁっ!!な、なにするの?!やめて!」わたしはハサミから逃れようと縛られた体をよじらせた。
「おっと、動くとあんたの大事なところを切っちまうぜ。大人しくしな!」

「い、いったいわたしになにをする気!?」
「別にあんたの体を傷つけるつもりはねぇさ。ちょっくら気持ちいい思いをしてもらうだけだ。」
そう言って男が取り出したのは電動式マッサージ器だった。
男がスイッチをオンにすると電マはウィーーーーーンと音を立て先端部を激しく振動させはじめた。
「こいつであんたの敏感な部分をマッサージしてやる。痴態を晒したくなかったら、素直に持ち物すべてを出すんだな。」

「ちょうどよかったわ、長時間の運転で、もう肩が凝りまっくてたの。マッサージよろしく頼むわね。」
「ははぁ、この期に及んで、いい度胸じゃねぇか。だがオレたちを舐めんなよ!恐怖の快楽地獄を味合わせてやるぜ!」
いきなり男は手にした電マをわたしの股間に押しつけた。
「あっ、ああぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁ・・・・・・・」 あまりのインパクトにわたしは思わずのけぞり大きな喘ぎ声をあげてしまった。

「どうだ恐れ入ったか、オレの電マさばきを! この快感がやがて地獄の苦しみに変わる前に吐いちまった方がいいぜ。」
「う、うぅぅぅぅ・・・あっ、あぁぁぁぁ・・・や、やめてぇ~!!!」 わたしの体は意思とは裏腹にどんどん反応度を高めて行く。
「わははははは・・・すげぇだろう! これはオレが改造を加えてパワーアップさせたスペシャル電マだ。 これまで何人もの女が
これの餌食になって発狂死していった。 おまえも強情を張ってるとその仲間になっちまうぜ。」
時折男が指でわたしのパンティの上から股間をなぞる。
「ほれほれ、強がり言ってる割には、もうこんなにグショグショになってきてるぜ。」 そう言って濡れた指をわたしに見せつけた。

わたしは長時間かけて何度も昇天寸前までイカされたが、一歩手前で中断するという微妙なタイミングを知り抜いた男の残忍な
テクニックでわたしは身も心もボロボロにされていった。
これまで様々な拷問や仕打ちを経験してきたわたしだったが、こんな女体の性質をとことんいたぶるような責めは初めてだった。
「も、もう・・・こんなこと、やめて・・・おねがい。 い、いったい・・・なにが・・・望みだって言うの?」 わたしは朦朧としながら言った。

「持ち物すべて出せと言ってるんだ!」 「だから・・アッ・・これ以外・・ウゥッ・・な、なにも・・・ないわっ!・・アァァァァ・・・」
「しぶてぇ野郎だぜ。だがそろそろ忍耐も限界のようだな。言わないなら発狂するがいい!!」 男はスイッチを最強にした。
ブイィィィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーン・・・・・・・
うわぁあぁぁぁっぁぁああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!

わたしの悶絶寸前の苦しみ様を見かねたもう一人の男が言った。「ホントに狂っちゃうぞ。早く吐いちまえよ。これ以外にも、
たとえば・・・そう、設計書があるとかさ・・・」
「なに?!バカ!具体名を出すなと言ったろ!」「だって先輩・・・・」 男たちが口論となる。
「せ、設計書?ど、どうして? あなたたち、何者なの?!」 わたしは、うっかり口を滑らせた男の言葉を聞き漏らさなかった。
すっかり正気を取り戻したわたしは、長時間の電マ責めで悶えているうちに手足のロープが緩んできたことに気づいた。
スルッと手足をロープから抜くと、ビックリする男たちにわたしは強烈な股間キックと顔面パンチを喰らわせ、ついでにわたし
を拘束していた椅子で思いっきり二人をブン殴った。

火事場の馬鹿力とはまさにこのことで、気がつくと二人の山賊たちは気をうしなって床に転がっていた。
わたしはすぐさま荷物を奪い返すと、山小屋を飛び出し、一目散に走りながら山を越えた。
(土井中工務店。ここだわ!) 目的地に着いたのは、なんと夜中の12時少し前だった。
わたしがドアを叩くと、中から人のよさそうな老人が出てきて、わたしのボロボロの格好を見て驚いた。

「そうか、歩いて山を越えて来なさったか。そりゃぁ大変だったねぇ。」
「土井中社長、お約束の設計書です。こんな時間までお待たせしちゃって申し訳ありません!」
そう言ってわたしがパンティの中から小さく折りたたんだ設計書を取り出したものだから、土井中社長はまたまた驚いた。
山道で車を降りたとき、万が一のことを考え、わたしは設計書を小さく折りたたんでパンティの中に隠しておいたのだ。
「クンクン・・・この設計書、なんだか濡れてるような、臭うような・・・・」 土井中社長は設計書を嗅ぎながら怪訝そうな顔をした。
「しゃ、社長!い、いろいろ事情がありまして・・・・あんまり臭いを嗅がないで下さい。」わたしは顔から火が出る思いだった。

「はははははは、かまわん、かまわん。これさえあれば、明日の商談は大成功間違いなしだよ!いやぁ、お嬢さん、
ありがとう! それに別に嫌いな臭いじゃないしね。あはははははははは!」
こんな夜遅くというのに、社長はわたしを家に上げ、暖かい食事まで用意してくれた。
わたしはなんだか久しぶりに人の優しさを感じることができ、食事をとりながら妙に涙が止まらなくなってしまった。

翌日、会社に出勤すると、瀬久原課長が驚いた顔をしてわたしに言ってきた。
「は、針筵くん。あの設計書、無事に土井中さんに手渡したんだって?!い、いやぁ・・・ご苦労さん。」
どうも歯切れが悪い。
わたしは首をかしげながらデスクにつくと、ちょうど伊闇・肝井両先輩が出勤してきた。
「ど、どうしたんですか!? そのケガ?!!」 両先輩はなんと頭と手足に包帯をグルグル巻きで現れたのだ。
いずれにせよ、今回の急の任務もかろうじて無事こなすことはできたが、これからも危険はいっぱい襲い掛かってくるに違いない。
でも、わたし、負けないわ!

★おまけ・・・・・
その日、なぜか知らないが、伊闇、肝井両先輩は瀬久原課長からひどく怒られていた。
課長もひどいわ。 原因はわからないけど、先輩たちあんな大ケガをしているんだから、ちょっとは優しくしてあげたらいいのにね。
※この物語はすべてフィクションであり、登場人物および団体は実在しないものであります