「ぶ、部長ーーーーーーーーーっ!!!」 わたしたちは思わず叫び声をあげた。
「う、うぅぅぅ・・・・」 その声に気づいたのか、十字架上の佐渡部長が苦しそうな表情で顔を持ち上げた。

部長の衣服は前が大きく引き裂かれており、そこからのぞいた傷と痣に覆われた肌はひどい暴行を受けたことを如実に物語っていた。
「ああ、部長・・・・なんてひどい目に。」 いつも過酷な扱いを受けているわたしだったが、このときばかりは部長に同情した。
麗図社長はわたしたちの驚愕する顔をまるで楽しむかのように高らかに笑い出した。
「ははははははははははは・・・・・ あんたたちの部長は我々の手中にあるわ!それにしても豪紋商事の連中と来たら、頑固者揃い
のようね。この憎たらしい女も、我々の最先端の拷問にもいっさい屈しないんだから!」

それを聞いた瀬久原課長はわたしに向かって言った。
「おい、ハイパーASUKA。なにをぐずぐずしている!部長をお助けするんだ!」
「課長。そ、そんなこと言われても・・・・・・」

「バカ!今がいったいどういう時かわかってるのか!? 査定の時期だぞ、査定の!」
「へぇっ?!」
「このまま部長を見捨ててみろ。 最低の評価をつけられてしまうぞ!ヘタすりゃオレまで左遷だ!いけーーーーーっ!!!」
この指示に、わたしの中のスイッチが再びONになった。
猛然と飛び出したわたしは強烈なキックをUFOの横っ腹にぶち込んだ。。

ガツーーーン!! UFOはキックの衝撃に一旦大きく揺れたがすぐに態勢を立て直し、マシンガンの猛射で反撃に転じてきた。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!!!
その弾を巧みによけながらわたしは無意識に両手広げて前方に伸ばした。
バリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!!ドッカァァァァァァーーーン!!!
手の平から発射したビームがUFOのマシンガンを吹き飛ばした。

「いいぞーー!ハイパーASUKA!」 バトルを見守る課長や伊闇さんたちが歓声をあげる。
しかし握馬物産・エイリアン連合軍も負けてはいない。再び麗図社長の声が響いた。
「そこまでよ!ハイパーASUKA! これ以上反撃するなら、この女の命はないわよ!」
見るとUFOからニョキニョキ伸びだした1本の触手が磔の佐渡部長の喉元でピタッと止まり、その先端が鋭い刃物に変わった。
「うっ、卑怯よ!」 わたしは動きを止め、この卑劣なやり方に抗議した。

その間にUFOから4つの球体が発射され、それぞれから伸び出した触手がわたしの手首足首をガッシリ捉えた。
きゃぁぁぁあぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!
あっという間に形勢逆転。 わたしは両手足を大の字に広げた状態で宙に浮く格好になってしまった。

「まずは邪魔なこの女から片付け、そのあとゆっくりあんたたち全員を始末してやるわ!」
「おいおい、ハイパーロイド作戦、早くも失敗かよぉ・・・・・社長のアイデアも大したことないなぁ。」 瀬久原課長がガックリ肩を落す。
「か、課長!!そんなに早くあきらめないでくださいよーーー! なんとか対策を考えてくださーーーい!!!」

そんな慌てふためく豪紋商事の面々を面白がりながら麗図社長が言う。
「対策?そんなものあるわけないわ!おほほほほほほほ。 大将、構わないからこの女を八つ裂きにしてやってちょうだい!」
大将と呼ばれて緑のエイリアンは大きく頷くと、大声で宇宙語の指示を発した。「○△◆×*#$★!!!」
空中に浮かぶ4つの球体がそれぞれ別々の方向に一斉に動き出す。それに伴いわたしの手足は四方に引っ張られはじめた。
うぅっ!ぎ、ぎゃぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁ!!痛ぁーーーーーーーーい!!!
佐渡部長そして営業1課のメンバーの目の前で、わたしは絶叫をあげながら悶え苦しんだ。

「あははははは・・・・バラバラにしてやるわ!」 麗図社長の勝ち誇ったような笑い声が廃墟となったオフィスに響き渡る。
て・手が・・・、あ・足が・・・千切れるぅぅぅーーーっ!!!も、もう、ダメェェェェェェェーーッ!!!
その時、聞き覚えのある声がわたしの耳に飛び込んできた。
「おお、間に合ったか!わしの傑作ハイパーロイドASUKA。 これを飲むんじゃーーー!!!」
それはあの変態科学者の宇袖博士の声だった。

博士は相変わらず薄汚い白衣のまま、この絶体絶命のピンチ場面に駆けつけたのだ。
博士が放り投げた小さなカプセルをわたしはかろうじて口で受け止め、ゴックンと飲み込んだ。
キャァァァァァァァァァァァァァーーーーー!!!!
突然わたしの全身が猛烈に火照りはじめたかと思うと、コスチュームが真っ赤に変色しながら変化した。
バババババババババァァァァァァァァーーーーーン!!!!
もの凄い力が体中に漲ってきて、あっという間にわたしの手足は4本の触手を引き千切った。

「どうじゃ、ハイパーロイドのパワーアップ剤の威力は!」 宇袖博士は得意な顔で叫んだ。
再び形勢逆転だ。 驚く麗図社長、エイリアンを前に、わたしは佐渡部長を十字架から救出すると、大きく両胸をUFOに向けた。
「怒涛のミルキーウェイスパーーーク!!」 意味不明な言葉を叫ぶわたしの両乳房から強烈な光線がUFOめがけて飛び出した。
ドッカァーーーーーン!!! UFOは無数の火花があげながら大きく傾いた。

「くっそお、こしゃくな!ならばこれでどうだぁーー!!」 なかなかエイリアンも日本語が達者だ。
カンカンに怒ったエイリアンは一つの壷を手にしてUFO上に立ち上がり、壷口をわたしたちの方に向けた。
キュイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーン!!!!
フロア中に散乱していた机や瓦礫がどんどんその壷の中に吸い込まれていく。
「これは我が社が宇宙パテントを取得している携帯用ブラックホールだ。こうなったら、お前らみんな吸い込んでやる!!!」

「や、やばいぞーー!みんな、何かにつかまれーーー!!」 課長が叫ぶ。
「あぁぁぁぁーー!!!ダメーーーー、吸い込まれるぅぅぅぅぅぅぅーーー!!!」 坪根さんの悲鳴が響く。
「ハイパーASUKA!ハイパーパンティを脱ぐんじゃ!」と博士。 「え?な、なんですって!!」とわたし。
「いいからパンティを脱いで、壷めがけて投げつけるんじゃーー!!」
わたしは赤面しながらパンティを脱ぐと、携帯用ブラックホールの口めがけて投げた。
パンティが真っ暗な壷の中に吸い込まれていく。 と、突然、壷の吸引がストップし、ブルブルっと震えるとパリンと割れてしまった。

「あ、あれぇぇぇぇぇーー!! 必殺技が破られるとは!!」 エイリアンが驚きの声を発した。
「オイ、麗図社長。地球上にこんな強い敵がいるなんて、契約書には書いてなかったぞ!このたびのM&Aは無効だ!オレたちは
宇宙に帰る!」 そう言うが早いか、エイリアンは麗図社長を放り出し、そそくさと空の果てに消えてしまった。

「ちょ、ちょっとぉ!そんな無責任な!」麗図社長も慌ててどこかへ逃げ去っていった。
「やったぁーーーーーっ!!!」 わたしは敵を完全に撃退した喜びに大声をあげた。

その自分の声に、ハッと目が覚めた。
「あれ?!今のなんだったの?ま、まさか・・・・夢??????」
わたしは自宅のベッドの上にパジャマ姿でいる自分に気がついた。

なんだかわけがわからず、しばらく呆然としていたが、ふと枕元の時計を見ると・・・・・・
「うわぁぁぁぁぁーーーっ!こんな時間?! 大変!遅刻しちゃうーーーー!!」
というわけで、朝食も抜きでわたしは家を飛び出して行った。
でも、わたし、負けないわ!

※この物語はすべてフィクションであり、登場人物および団体は実在しないものであります。